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■ 台風前の海の中

-- 台風15号が奄美に近寄りつつあった時、「台風が来る前に」と思って海に向かった。台風が南から近付いてくる場合、南と東に面した海岸がまず荒れてくる。北と西に面した海岸は相当近付かないと波が立たないので、この日は土盛海岸を目指した。土盛は奄美の東側にあるが、海岸そのものは北向きの湾になっている。そのため、南や東からの風に比較的強い。そう思って出かけたのだが、予想よりちょっと波が立っていて「ぇえー」と思う。そりゃいくらなんでも凪は期待してなかったが、風によってあおられた海面がピチャピチャと跳ねまくっていた。「せっかく来たんだし」と海に入ってみたが、視界は不良。最悪とまではいかないが、波によって砂がまきあげられちょっと濁っていた。土盛の東側にはリーフが張り出しており、それが台風からのうねりを防いでくれてるのだが、それでも時々大きな波が入ってきて体を持ち上げては通り過ぎていった。時々顔を上げては、波の高さと押し寄せる強さを確認する。行き過ぎる波は結構な流れをともなうので、一定の間隔を置いてサーッと体が流され、またヨタヨタと戻っていく。そのくり返し。岩場で藻をつつく魚たちも一定の場所に留まるために、流れに顔を向け流れにあわせて速く泳いだりゆっくり泳いだりしていた。海の中から海面を眺めると、波の動きにあわせて海面が盛り上がったり凹んだりするのがわかった。海中もいつもより速い流れが生まれてはいたが、海面に浮かんでいるよりは海中に潜った時の方が比較的楽たった。それもそのはず。海面では、横への流れに加えて波による上下の運動まである。試しに無目的でしばらくプカプカ浮かんでみたところ、あまりの揺れに気分が悪くなった。一種の船酔い状態である。干潮にあわせて泳ぎはじめたが、潮が満ちてくるにしたがってリーフを越えてくる波が大きくなったので、この日は1時間ちょっとでひきあげた。家に帰ってニュースを見ると、すでに奄美が強風域に入っておりびっくり。台風15号が予報より早いスピードで進んでいたのだ。しまったなぁ。強風域と知ってたら泳がなかったのに・・。台風は生きている。情報はこまめにチェックです。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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