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■ 島に雲かかりて

-- そういうわけで雨の1日だった。夕方前にようやく光が射し、じんわり汗がにじんできた頃、神ノ子集落の辺りから奄美の島陰を眺めた。はるか遠い左の先端は住用の市崎。続いて突き出た岬は和瀬の辺りで、小湊、崎原から下りたところ、戸口、アオン浜となる。大きな雲が立ち上がっている所はちょうど名瀬の上空あたりだろう。あそこはまだ暗い曇り空のもとで、きっと雨も降ってることだろう。名瀬の年間日照時間が日本で最下位辺りにランクされるのも仕方がないこと。夏場は太平洋を吹き抜けてきた風が島陰にぶつかり入道雲のきっかけを作り、ちょうど雨が降るほど発達した頃に名瀬の上空に達する。そして冬は北風に集められた雲が北向きの名瀬湾を覆いつくすのだ。南の島だからって日照時間が多いとは限らない。名瀬は雲に愛された場所なのだから。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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