■ こころ色の夕焼け
-- 「あまみ頃」では、空に近い場所から眺める夕陽について書いた。空気感も手伝うおかげで、高い場所から眺める秋の夕陽は格別だ、と。だからといって浜辺で見送るのが「わろし」なわけじゃない。浜辺で見送る秋の夕陽もまたいいものだ。人影の少なくなった秋の海は、少し寂しげなところが心に染み入る。気分とは不思議なもので、寂しい気分の時には感覚も寂しさをともなうものによく反応する。吹き抜ける風の冷たさであったり、踏みしめた砂の冷たさであったり、打ち寄せる波のほんのりとした青みであったり。100の気持ちがあったなら、きっと夕焼けにも100の色がうまれるだろう。