+
■ 連続ドラマ1「赤尾木〜夜明け前〜」

-- 奄美でもっとも狭い陸地、赤尾木。太平洋と東シナ海を隔てる陸地は、狭いところで1kmをきる。この日はいつもより早起きできたので、まだ月が見える時間に目的地に着くことができた。日の出前約40分。ギリギリの時間だ。何がギリギリかというと、日の出から1時間ほど前に空が色付くことがある。まだ星が輝く中、水平線に走る赤い光。光は次第に強くなり、それと同時に逆に色は褪せていく。その色が褪せるギリギリの時間に間に合った。赤尾木の集落にはまだ外灯が光を点している。珍しいことに今日はうっすらと霧もかかっていた。霧に煙る大地に、独りスクッと立つ煙突。戦争時代の名残りである軍が使っていた通信施設が、赤尾木のシンボルタワーのように霧の中に力強く立っていた。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
※写真等すべての無断利用を禁止します。写真の貸出についてはメールにてお問い合わせください。
メインホームページ→