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■ イリュージョンの裏舞台

-- 一瞬にして消え去るミナミコメツキガニのマジック。逃げ込む穴もない場所で彼らは見事なまでのイリュージョンを見せる。その裏舞台は実にリアルに、そして普通に隠れているだけ。だが、その隠れ方がまた独特なのだ。ミナミコメツキガニはとても用心深く、ちょっとした気配にもすぐ隠れだす。そろりそろりと近付いても、「もうすぐ姿がはっきり見えそうなのに」という距離ですでに隠れはじめてしまう。だだっぴろい干潟だと人の姿は目立ちすぎるので、僕はマングローブの樹の影にかくれて見つからないように大接近を試みた。この距離なら、写真でもよくわかると思う。外敵の気配を感じて、慌てて地面にもぐりはじめたミナミコメツキガニ。体を横に傾け、足をうまく使って回転しながら地中にもぐっていく。その様子はまるでドリルのよう。そしてグルグルと回転することほんの数秒。ものの見事に彼らは地表から姿を消してしまうのであった。→つづき


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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