■ ヘーイ!カムバーック!
-- さて、ここまでミナミコメツキガニについてその特徴を色々と書いてきたが、ここらでそろそろ今回の本題に入ろうと思う。2年前、ブルーに衣替えしたミナミコメツキガニを初めて見た時、色が変わることにも不思議をおぼえたが、もう一つ、干潟を水辺に向かって沖へと歩く行動にも疑問を感じた。沖へ沖へと進んでいったら、その後はいったいどうなるのか。そう疑問を抱いておきながらも放っておいた2年間。久々にちゃんと観察して少し謎がとけた。この日、沖へ向かうミナミコメツキガニに背後からそーっと近付いて写真を撮っていた。すると、ある頃をさかいに皆がほぼいっせいに後ろを振り返り、こっちへ向かって歩きはじめたではないか。陸側のこちらへ向かってズンズンと近付いてくるミナミコメツキガニ。ジーッとしていると、彼らは僕の横を通りすぎてマングローブの森の方へと帰っていった。その後をつけるように僕も森の方へと歩んでいくと、森の近辺にはいくつもの青い団体様がうろうろとしていた。最初、僕がマングローブへやってきた頃には森から離れたところに多く見られた団体様だったが、今は森の境い目のところにたくさん集まっていた。その様子を眺めていると、水気が少なくて固い地面のところは足早に動き、水たまりのようになった湿った地面ではたむろするようにゆっくりと過ごしている。どうやら水分たっぷりの柔らかい土地がお好きなようだ。それぞれの団体様は一定方向に動くのではなく、好みの土地を求めて森の境界線を右へ左へ出たり入ったり。そうしてあちこちでいろんな動きを見せていた。2年前に抱いたミナミコメツキガニの行動への疑問。沖へ沖へと移動した後はどうなるのか。今回は一部の団体しか見てないので断言はできないが、彼らはおそらく戻ってくる、と推測される。干潟に再び海の水が満ちてくる前に、ある程度基本となるベースキャンプの位置まで戻ってくる。そのベースキャンプはマングローブの森と広大な干潟との境界地点にあり、完全に潮がやってくるまではキャンプ地の周辺で過ごすのだ。そしていよいよ潮が満ちてきた時・・。それはまた明日のお話。→つづき