+
■ 地球を感じるカメラ

-- 今年は、晴れの日がとても多い。例年、11月から12月にかけて寂しい空が広がっていくものなのだが、雨も曇も少ない秋晴れのような気持ちのいい天気が続いている。よく晴れてくれるおかげで、星もきれいだ。そんなこと不可能で嘘っぱちだってわかっていても、「手を伸ばせば届きそう」なところに星が見える。この大空いっぱいに散らばった星たちを全部写真にとじこめたいが、今の装備では半分くらいを写すのがいいところ。満天の星は未来に託すとして、今日は北の方へカメラを傾けた。地球の回転軸が北極星と重なるために、北側の星空は北極星を中心に円を描くように動く。一瞬一瞬を連続で再生するビデオと違って、スチール(カメラ)は一瞬一瞬をひとつの画面の中に重ね合わせていく。光の軌跡となって描かれる星の動き。シャッターを開いていたほんの数分の間に、僕らが住む地球はこれだけ動いている。回っているのは僕達なのか君達なのか。ふと考えながら見上げた星空は点の瞬きしか見せてくれなかった。カメラだけが地球の動きを感じていた。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
※写真等すべての無断利用を禁止します。写真の貸出についてはメールにてお問い合わせください。
メインホームページ→