■ 風車たちの向こうから
-- 甲板へ出ると空気は想像以上に冷たかった。風の当たらない所を探して身をひそめた。鹿児島の大きな入り江「錦江湾:きんこうわん」に入った船は、波静かな湾内を鹿児島新港へ向けて北上する。錦江湾はとても大きいので、湾に入った後も1時間以上かかる。船から眺めて太陽が昇る方向には島影が見える。大隈半島の島影だ。山並の向こうでは空が赤みを帯び始めていた。明るさを増すにつれ、稜線に何か浮かび上がってくる。あ、あれは風力発電の風車か。グルングルンと回る風車の向こうから、朝が訪れようとしていた。
-- 年末鹿児島ツアー ■・・>NeXT