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■ とても寒い日  2/22

--菜の花に群がる蝶。「なんて春らしいのどかな光景なんでしょう!」と言いたいところだが、現実は全く違う。確かに菜の花の黄色は春らしいぬくもりを感じさせるが、今日はとても寒い日だった。ここ何日か気温が低く、南国奄美でも10度前後となっている。卵やさなぎの姿で冬を越す蝶が多い中で、写真のリュウキュウアサギマダラは成虫の姿で冬を越す蝶。奄美だから平均気温もそれなりにあるし冬でも問題ないのかというとそうでもなく、暖かい日は飛び回れても寒くなればもちろん動けなくなる。よく見かけるのは集団で枯れ枝にとまっている姿(下写真)。気温が低い日は夜が明けても飛び回ることなくジッとしたままである。そんなリュウキュウアサギマダラだが、今日は珍しく菜の花にとまっている一群を見かけた。そこら一帯には30頭ほどの個体がいたが、菜の花にとまっているのはまだマシな方で、蝶によっては地べたで動けなくなっているものもいた。もし蝶がヒラヒラと菜の花畑を吸蜜して飛び回っていたのなら、それは間違いなく「春の光景」そのものだったのだが、ファインダーの中の春色と実情には大きな違和があった。どんなに温そうな色をしていても実際これは春の風景ではなく、「寒くて動けないリュウキュウアサギマダラ」の写真なのだ。撮った私自身が記憶を疑いたくなるほど、寒さの伝わってこない光景だった。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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