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■ ルリカケスのたてる音  3/14

--山道でばったりルリカケスに出会った。天然記念物で奄美にしか生息しない野鳥だが、島で会うのは別に特別なことじゃない。そんな貴重な鳥にそんなに簡単に出会っていいの?と思うくらいよく会う。どちらかというと見慣れた鳥だ。だが、今日のルリカケスはいつもとちょっと違っていた。やけに人なつっこいのだ。いつもは近づこうとするとすぐ逃げてしまうのに、今日はルリカケスのたてる音がはっきり聞こえる所まで近づけた。ルリカケスに限らず、自然の中で野鳥にこんなにも近づけたのは自分史上ナンバー1の記録かもしれない。望遠を持っていたならもの凄いショットが撮れただろうけど、あいにく手持ちは標準系ばかり。薄暗くなっていたので仕方なく一番明るい50mmのレンズを付けて接近した。地べたをタンッタンッと跳ねながらあちこち掘ってはモグモグやってるルリカケス。こっちに向かって跳ねてきた時には「おいおい近づきすぎだよ。心の準備が・・」と正直焦った。1mの距離もないすぐ目の前で盛んに土を掘るルリカケス。地面にクチバシを突っ込む時にたてるギュッギュッという強い音に胸が震えた。最後の方では試しにフラッシュもたいて掘り上げる土を写し止めてみたが、光に不思議そうな様子は見せるものの逃げはしなかった。よほどヒトに慣れた個体だったのか、それとも僕が全身ルリ色に近い格好をしていたからか。理由はどちらにせよ、すぐそばで一緒になって仲間気分を味わえ、とても貴重で素敵な時間を過ごすことができた。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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