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■ サンゴの石垣と満開のトベラと用心棒と  4/7

--春を迎え、奄美のあちこちで満開のトベラを見かける。トベラは島に固有の植物ではなく本州にもある花だが、奄美の庭先にとてもよく似合うように感じる。この季節は外を歩いていると強い香りが漂ってきて、香りのもとをたどっていくとトベラに出会うことが多い。与路島ではこのトベラとシャリンバイがちょうど満開を迎えていた。

--歩くのにちょうどいい幅の道と、風情あるサンゴの石垣。そこにちょこんと立て掛けられた1本の棒。なんのへんてつもない木の棒が、村のあちこちに立て掛けられている。「この棒はいったい何だろう?」と初めて見る人は思うことだろう。これは「用心棒」と呼ばれるハブ避けの棒である。もしハブに出会ったらこの棒で「頭を押さえる」「ハブを叩く」などして対抗するのだ。もし山の中でハブに出会ったら逃げるのが一番の安全。でも、村の中でハブを見かけたら「ハブだー!」と叫ぶべし。生活圏でハブを見過ごすことはとても危険なので、ハブ退治に駆けつける人がいるはずだ。しかもハブは売れるしね。

--用心棒があるとハブが必ず出るわけじゃなく、この棒は移動手段が徒歩の場所によく置いてある。ハブには滅多に出会うことはないが、奄美はハブのいる島だからどこで会ってもおかしくはない。夜道を歩くのは不安だが、いざという時に長いものに対抗できる。そんな安心感を用心棒はあたえてくれる。

春の引っ越し「与路島」編
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このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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