■ 潮招くカニガニ 6/6

--明日は新月、本日も大潮。潮は引き引き、空は晴れ晴れ。干潟になったマングローブでは、乾いた泥の上でシオマネキたちが大きなハサミを振り上げていた。潮を招くようにハサミを振るシオマネキ。この動作はメスを穴へ誘うのだと聞いたことがあるが、確かにそうかもしれない。メスらしき小さなシオマネキがそばを通ると、ゆっくりとしたペースで振られていたハサミが急に焦ったように素早く振られる。切実な一生懸命さが伝わってくるようで、見ていてなんだか面白かった。

--今日はよく晴れていたが、台風4号が近付いているため海は少しずつ波立ちはじめていた。マングローブにも強めの風が吹き付けてきており、ファインダを見つめるために目を開けているのが辛かった。横から風が入ってくるのですぐ目が乾いてしまうのだ。でも久しぶりに撮影らしい撮影ができて気分は良かった。あまり時間がなくて1時間ほどしかカニを見つめていられなかったが、それでもファインダに集中して過ごせた貴重な時間だった。自分にとって写真を撮る行為そのものが、何ものにもかえがたい至福の時間であることを改めて感じた。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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