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■ サンセット&ムーンライズ 7/21

--今年は梅雨明けからしばらくモヤッとした日が続いた。太陽がどんなにまぶしくても霞んだ空はなかなかスッキリしてくれなかったが、台風が近所を通り過ぎたおかげか昨日からようやく本格的な夏の感じになってきている。真っ青な空にわきあがる入道雲が「撮りにこい撮りにこい」と心をくすぐる。ああ、夏だなぁと心底思う。

--入道雲もいいが、今日は満月の知らせを。

--昼間見上げた空からして、今日は日没も月の出も魅力的な予感。しかし日没と月の出のショーは同じ海岸では催されない。西の海に沈む夕陽と、東の空から昇る月。「さて、どちらを選ぼうか」と迷ったあげく、両方見ることにした。携帯で調べてみたところ、日没と月の出に10分ちょいの時間差があったらからだ。

--ちょうど笠利にいたので、夕陽は赤木名(あかきな)へ。月は土盛(ともり)付近のキビ畑から見ることにした。

--今の時期、笠利で夕陽が見られるのは崎原(さきばる)、赤木名、蒲生崎(がもうざき)、屋仁(やに)、佐仁(さに)、笠利崎(かさりざき)。この中で西と東のアクセスがいいのは赤木名。もちろん笠利崎はアクセスどころか西も東も300度見渡せるから夕陽も月も確実だ。だが今日はサトウキビ畑から月を迎えたかったので赤木名が一番近い夕陽スポットだった。太陽が赤木名立神の横に沈みきったのが19時18分。ボーッと余韻にひたろうとする自分に「月!月!」と呼びかけて目を覚ます。そうだ月があったんだ。

--赤木名集落を経由して東の海岸へ向かう。笠利町は山が低いので横断ルートがあちこちにあって便利だ。土盛に直通する道を選び、軽い峠を登りきると夕闇の向こうに喜界島が見えた。辺りを見渡すが、どうやら月はまだ昇ってきていないようだ。薄暗くなったキビ畑の道をさまよいながら見晴らしのいい場所を探す。畑の横に車を止め、三脚を立てて顔を上げると、喜界島の上にほんのり色付いている部分を見つけた。やっべ出そうだ!とあわてて車へ走りカメラをつかんだ。

--淡いブルーが残る闇に姿を現したまあるい月は、思い描いていたよりずっと赤い色をしていた。クレーターまで見えそうなほど、大きな大きな月だった。


このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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