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■ 夏雲のなかへ 8/6

--つい先日行ってきたばかりの鹿児島へ再び。今回はショートステイ。急な移動で慌ただしかったのでまた飛行機に乗り込んだ。台風の影響で奄美の空はぐずついていたが、奄美空港を飛び立ち眼下の喜界島が見えなくなる頃には空に青色が見えはじめていた。奄美から鹿児島へ約400km。この距離を50分で移動する飛行機からの風景はめまぐるしく変わる。いつしか台風の傘下から抜け出し、空にはまぶしい夏の風景が広がっていた。鹿児島上空にモクモクとわきあがった夏の雲。白い塊が目の前に迫るたびに胸がドキドキと高鳴る。雲の間をぬうように飛行機はすすみ、光の角度によっていたるところに虹が現れた。雲は空に浮かぶ水のかたまりのようなものだから、真正面から光を受ければ簡単に虹が生まれる。遠くの雲に小さな虹が見えたと思ったら、目の前に大きな虹が広がったり。影のまわりに円い虹ができるブロッケン現象もポツポツそこらに現れては消えていった。そして次々と現れる虹の中で最も壮観だったのは、視界に入らないくらい大きくてまあるい虹。あまりに大きかったので、一番広いレンズを使っても一部分しか写真におさめることはできなかった。窓に顔をぴったりはりつけて覗きこむと、飛行機よりも大きな虹が雲の中に広がっている。後ろの席から「にじっ!」と子どもの声が響いてきた。どの席の人達も興味深く見つめているようだった。僕も写真を撮るのを止め、背筋を伸ばして座りなおし、通路側の席の人からも見えるようにしばらく深々とシートにもたれて大きな虹を見つめた。

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このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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