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■ 天空の古代都市 8/9

--鹿児島から奄美へ。座席を指定していなかったので心配だったが、「羽にかかります」と言われつつもなんとか窓側の席を得られた。良かった。安心した。席に余裕がある時は順光側のシートを選ぶのだが、今日は運に任せてみたところ逆光となった。たまには逆光の風景も見ておきなさいということなのだろう。

--離陸時刻は午後5時30分。逆光といっても夕方に近く、少しは光も和らいでいた。これなら耐えられるまぶしさだ。鹿児島上空は好天で比較的スッキリとしていたが、北から南へと飛行機が進み奄美へ近付くにつれて空に霞がかかってきた。モヤっとした大気がさらに光を和らげる。柔らかいベールをかぶせたような優しい光の中に建ち並ぶ入道雲は、まるで古代都市の建造物のようだった。

--奄美が見えてくる頃、やがて太陽は夕陽にかわろうとしていた。層状に空をおおった雲を境に、景色が二つにわかれる。天空の青と地上の夕色。飛行機は、夕暮れの奄美を眺めながら着陸態勢に入った。

--ただいま、奄美大島。もうすぐ君に降り立つよ。

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このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
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