.
■ あいつのピースサイン 5/28

--虫や動物が姿形を環境に似せて外敵から見つかりにくくすること。いわゆるカモフラージュ。日本名「擬態」。枝そのものに見えるナナフシとか有名だけど、姿形のみならず役作りまでして頑張っている虫に遭遇した。

--上の写真に隠れている幼虫、わかります?。この幼虫、肌質が樹皮っぽいのもあるのだが、その肌質だけにうぬぼれず枝になりきろうと努力していた。もし最初からこの状態に出会っていたら、僕は気付かなかったかもしれない。最初はシャクトリムシのように動いていたから「うお!でかいシャクトリムシがいる」と気付いたのだ。実は同じ所にミノムシもいて、大きな二つの物体が動いていたから正直ゾワゾワするくらい気持ち悪かった。でも根気よく観察していると、大きなシャクトリムシは動きを止めて体を斜めにピーンと伸ばしたではないか。これはまさに枝になろうと「演技」しているに他ならない。凄い。君、見事に枝になりきってるよ。この姿を鏡に映して見せてやりたいなと思った。でもこんなに頑張る奴だから、鏡に映った姿を見せたら「あ、細い枝から太い枝が出てるのはちょっと違和感ありますね」と言って場所をまた変えるかもしれないな。いやでもそれだけなりきれれば十分だよ。頭の上の2本の角も、今日は得意げなピースサインに見えるよ。

--ちなみにこの幼虫は「トビモンオオエダシャク」というガの幼虫のようだ。足が前後の先端にしかないため尺を取るようにして歩くシャクトリムシの1種で、この仲間たちはシャクガ類と呼ばれてあまり好かれてないようだ。いわゆる害虫で、しかも皆同じように木の枝に扮する。隠れ上手になりまいなわけだ。

--それにしても今日は名前を調べるのにあまりにも多くの幼虫の姿を見過ぎた。あまり得意じゃないから、少し頭がフラフラするね。さっきまで誇らしげに見えた頭の上の2本の角も、今はなんか「へへーん、してやったり」的なピースサインに見えてしまうよ。

.

このページは、奄美の写真家「別府亮」の撮影日記的な奄美の記録→『奄美/365』の1ページです。
※写真等すべての無断利用を禁止します。写真の貸出についてはメールにてお問い合わせください。
メインホームページ→